就活が始まって気がつく『SIer』という業界だか職種だかよく分からない言葉。
『SIer』って何?と思う方いますよね。私も就活が始まるまでこんな言葉を知りませんでしたし、就活初期の時は『?』って感じでした。
これから
- SIerとは何か?
- SIerとIT業界の違いは何か?
- SIerとweb業界の違いは何か?
などを、現役SEが解説していきます。
Contents
そもそもSIerとは何か?
SIerをカタカナ表記にすると、システムインテグレーターとなります。
システムインテグレーターとは、情報システムの企画、構築、運用などの業務をシステムのオーナーとなる顧客から一括して請け負う情報通信企業のことです。
引用:転職エージェント
この言葉通り、システムをインテグレートする企業のことです。ちなみに、インテグレートとは『統合、統一、まとめる』のような意味があります。
システムインテグレーター(System Integrator)を英語で略すと、『SI』です。そのSIに『~する人』という接尾辞をつけた言葉が『SIer(エスアイアー)』です。
SIerとSEの違いは下記の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はこちらを参照ください。
また、SIerと呼ぶことが多いですが、中にはSIだったり、SIベンダーと呼んだりする人もいます。以下のような言葉が説明会等で出てくるかもしれません。どれも同じような意味合いで捉えてもらって大丈夫です。
- SIer
- SI
- SI企業
- SIベンダー
SIerで働く人々は基本的にSEです。もちろん営業やコーポレート系(総務や人事)などの社員もいますが、SE職をメインに募集していると思ってもらって大丈夫です。
IT業界とSIerの違いは何か?
IT業界と言えどもその中に大きく2種類存在しています。それがweb系とSIer系です。
その他にも『ITコンサル』や『組み込み系』などもありますが、これらは『その他』に分類しました。
ITコンサルは時にSIerに含むこともありますので、IT業界規模的にも大きく『SIer』と『web系』の2つが存在していることで良いでしょう。SIerの代表的な企業やweb系の代表的な企業は次の章で挙げますので、ここでは割愛します。
最後になりますが、IT業界とSIerの違いは言葉の定義の問題です。IT業界の中に『SIer』と『web系』が含まれていると思って大丈夫です。
そのため、IT業界を見ていますもOKだし、SIerを見ていますもOKです。しかし、行っている事業は全く違うので、IT業界を見ていますはざっくりしすぎています。できれば『SIer』を志望しています、『web系』を志望しています。と言ったほうが良いでしょう。
web業界とSIer業界の違いはどう?実際の企業を説明
簡単に見分ける方法として、一般人にも広く認知されている(普及している)のがweb系の会社、一般的な企業のシステムをサポートしているのがSIerです。広い意味ではweb系はBtoC、SIerはBtoBのような形態が多いです。(全部が全部当てはまる訳ではありません。)
また、この分類はあくまで形式上です。正しい定義などはありませんので、人によって、企業によっては定義が異なります。
web系の代表的な会社
- メルカリ
- サイバーエージェント
- GMOインターネット
- ZOZO
- DeNA など
その他、楽天やヤフー、リクルートなどもこのweb系に入れる場合もあります。このように具体的な企業を挙げるとイメージしやすいですね。この記事も『Google』から検索したり、『Twitter』で発見した方が多いのではないでしょうか。
これらが当てはまるのは、どれも一般人でも使用できるサービスであることです。言い換えると、web系は世間一般人にも触れることのできる表に出ているサービスを手掛けるようなイメージです。
インターネットの環境さえあれば、Googleの検索機能だって、Twitterだって、Instagramだって使用することができます。そして多くの企業では自社で、自社の開発をします。Googleの社員は基本的にGoogleの仕事をし、Twitterの社員はTwitterの仕事をする、サイバーエージェントでもZOZOでも基本的に仕事のスタンスは変わりません。
- Googleは、Googleのシステムを開発する
- Twitterは、Twitterのシステムを開発する
- メルカリは、メルカリのシステムを開発する
→多くの企業では、〇〇は〇〇のシステム開発をする。と表現できます。
ワンポイントアドバイスとして、web系の新卒採用は大学や専門学校の学生時代からプログラミングなどを勉強してきた情報系の学生が多い印象です。
いわゆるベンチャー企業も多く、最近ではメガベンチャー企業と呼ばれるように大きくなってきている企業も存在します。年功序列の影響が強いSIerでは年収がある程度決まってしまいますが、成果主義でもあるweb系の企業は年収の上げ下げの幅が大きいです。そのためからか、そこまでの学歴は必要ありませんし、高学歴の人も全体を見渡すとSIerよりも少ないです。己のスキル(プログラミング能力など)が重要となってきます。
SIer系の代表的な会社
- IBM
- アクセンチュア
- 日本HP(ヒューレット・パッカード)
- NTTデータ
- 日立
- NEC
- 富士通
- NRI(野村総合研究所)
- SCSK
- 三菱UFJインフォメーション・テクノロジー
- 東京海上日動システムズ
- JR東日本情報システム など
SIerと呼ばれるこれらの企業は就活をしない限り、なかなか知ることができません。IBMやNTTデータと言った企業は大企業でもありますが、どんなシステムを思い浮かべますか?恐らくGoogleやTwitterと言ったweb系のように思い浮かばない方が多数でしょう。私も分かりません。
つまり言い換えると、SIerは基本的に自分たち以外の他企業のシステムを支えます。
例えばSIerであれば銀行のシステム、生保のシステム、証券のシステム、鉄道のシステムなどに関わることができます。もっと具体的に言うと、以下のように表現できます。
- 東京海上日動システムズは、東京海上日動火災保険のシステムを開発する
- NTTデータは、三菱UFJ銀行のシステムを開発する(※)
- NECは、日本生命のシステムを開発する(※)
→〇〇は△△のシステム開発をする。と表現できます。
(※)今回はイメージしやすいため実際の企業名を出しましたが、実際に開発しているかは不明です。
NECに入社して自社(NEC)のシステムを開発することは稀であり、上記のように他の企業のシステム開発に携わることがメインです。(もちろん自社開発をする部署もあります)
そしてコレまたややこしいことにSIerには大きく3種類の企業が存在します。それが
- ユーザー系SIer
- メーカー系SIer
- 独立系SIer
です。この3種類に関しては以下の記事で深く書いていますので、参考にしてみてください。
最後にまとめるとSIerとweb系の会社は以下のように表すことができます。
SIerとweb系の業務内容は?
SIerとweb系はIT企業のため、どちらもプログラミングバリバリするんでしょ?と思っている方。実は違います。
SIerの業務内容
SIerは、事業会社からどのようなシステムを作りたいかヒアリングし、開発に着手します。そのように事業会社から直接請け負うことを1次請け・元請けと表現したりします。
このような1次請け企業は基本的にスケジュール管理や設計書作成などのドキュメント管理が基本的です。大きいプロジェクトであればあるほどプログラミングをする機会は殆どありません。
じゃあ誰がプログラミングをするのかと言うと、その下の2次請け、3次請けの会社です。
またプロジェクトが一つ一つ大きく、多くの人々を巻き込むので予算も大きいです。普通のプロジェクトでも1億円を超えていくようなケースも存在します。we系では少人数でガリガリ進めていきますので、このように予算が大きくなることは稀です。
また、金融機関の多くは、プログラム言語がCOBOLだったりJAVAだったりC言語だったりと、古くから使用されている言語が多数を占めます。特にCOBOLなんてこれから発展する可能性はほぼゼロであり、化石言語とも言われています。
web系の業務内容
こちらは実際に私が勤めていないので、正直なところ分かりません。そこまで詳しくは書けません。
使用する言語はSIerと比較にならないほど多種多様で、所属する会社によって異なります。
- Python
- Ruby
- java
- html
- PHP
- Perl
- C/C++ など
業務ではメールよりも最近ではSlackといったチャットツールを多用します。目の前に座っているのにチャットを通して連絡を取り合うぐらい、対面でのコミュニケーションをあまり取りたがらない人もいるようです。
また、成果主義が基本的のため、わざわざ会社に行く必要もなく、家だったりカフェで仕事をするのもOKです。同僚が転職した先では、1週間会社に行かずに仕事をすることもよくあるそうです。もちろんスーツを着るようなことがなく、私服通勤をしています。
ここまで書くとweb系は自由で良い感じが出ていますが、実際最近のSIerでもそのような風潮はあります。
就活初心者でも分かるSIerのまとめ
ここまでの紹介でなんとなくSIerのイメージが掴めたのではないでしょうか。
一般人にも触れることのできるサービスを提供しているweb系に対して、SIerの仕事はなかなか一般人に触れる機会がありません。言ってしまえば表舞台に立つことのない縁の下の力持ちです。
縁の下の力持ちと言っても、24時間365日システムを止めてはいけない使命があります。そのような覚悟を持った学生にぜひ来てほしいものです。また、少しでも興味があれば、各々の会社説明会に参加してみてください。