最近SIerのネガキャン、web系のポジキャンばかりが目立ちます。実際にGoogleで『SIer web』と調べると、以下のような検索結果が出てきます。
- SIerからWeb系への転職を考えている人に必要な5つの能力
- SIerとWeb系の違いを知らずにエンジニアになると100%後悔します
- 現役Webエンジニアが教えるSIerではなくてWeb系に死んでも行くべき理由
- SIerからWeb系に転職した話
- SEからWEB系に転職して5年経ったのでWEBとSIerを比較してみた
SIerからweb系に転職している人ばかりですね。さらに、このようなSIer下げツイートも見受けられます。
SIer向きの人:
・新しいテクノロジーに関心が無い
・リモートワーク等の柔軟な働き方に関心が無い
・外部発信に関心が無い
・一つの会社に定年まで勤めたい
・年功序列に適応できるという感じだと思いますが、僕はもう完全にこの逆なのでWeb業界でしか働けない「SIer不適合者」なのでありますw😭
— 勝又健太|「Web系エンジニアになろう」著者|雑食系エンジニア (@poly_soft) September 13, 2019
しかし、本当にそうでしょうか。今回は実際にユーザー系SIerで働いている私が、大きく5つの観点から反論してみます。
- SIerはweb系よりも技術が付きにくいのか?
- SIerはweb系よりも職場環境は劣悪なのか?
- SIerは私服出社が可能?
- SIerはテレワークなど柔軟な働き方ができないのか?
- SIerはweb系よりも年収が低いのか?福利厚生が整っていない?
私はユーザー系SIerで働いていますので、実際のweb系がどのような働き方かは分かりません。少し主観的な部分も入っておりますが、ご容赦ください。
Contents
SIerはweb系よりも技術が付きにくいのか?
プログラミング技術と言えば、この問にはYESと答えざるを得ません。確かにSIerよりもweb系の方がプログラミング技術は付きやすいです。認めます。SIerに所属していると、プログラミング技術は付きにくいです。
ただ、SIerと言えば、プログラミング技術よりもプロジェクトマネジメントが中心と聞きませんか?
エクセルでのドキュメント管理も歴とした技術です。多くの日系企業で管理職が必要とされている能力はマネジメントスキルです。少しずつ変わろうとしていますが、やはりこのマネジメントが一番評価されています。
そのため、プログラミング技術ばかりのweb系企業よりも、マネジメント系のSIerの方が潰しが効くと個人的には思っています。
私は金融系のユーザー系SIerに所属しているため、メイン言語はCOBOLです。COBOLは化石言語とも言われており、web系ではどの企業も扱っていないでしょう。
無知で恐縮ですすが、web業界で今話題の言語はRubyやPython、RやGOなどでしょうか。最近ディープラーニング等も流行っていますので、Python程度はコーディングできるSIer社員も一定数います。
また、RPAもブームに乗っかり、SIerでもUiPath程度ならば自分の手で開発できる社員もいます。AWSといったクラウドももちろん扱います。メーカー系SIerではパッケージソフトも扱っていますね。
SIerではウォーターフォールモデルが基本的ですが、アジャイル開発を行っている部署ももちろんあります。一応様々な手法を取り入れようとしています。
さらにSIerのベンダー会社が研究会を開催しており、様々な企業もこのような研究会に参加できます。
- NECの研究会:NEC C&Cシステムユーザー会
- 富士通の研究会:FUJITSUファミリ会
- 日立の研究会:日立ITユーザー会
- IBMの研究会:IBMユーザー研究会
例えばAI技術を用いたディープラーニング系のテーマ、ブロックチェーン技術などのテーマもあり、論文を書いている研究会もあります。
このようなことからSIerは技術が付かないは盛りすぎです。成長するだけの土台は整っていますので、正直社員の熱意次第です。ただし、一般的にweb系よりもSIerはプログラミング技術が付きにくいことは事実です。
SIerはweb系よりも職場環境は劣悪なのか?
実際にweb系で働いたことはありませんが、話を聞く限り、これはSIerよりもweb系の方が良さそうです。
SIerでは、PCはもちろん支給品です。セキュリティの問題でお気に入りのマウスやキーボード、デスクトップなど使用することが難しい企業もあります。Windows固定、Macを使えないなんてことは日常茶飯事です。
一方web系であれば、自分の好きなスペックのパソコンやマウス、キーボードを使用することができるようです。これは羨ましいですね。
web系はSlackと言ったチャットベース、SIerはメールベースのやり取りが中心と思われています。しかし、これは大きく語弊があります。SIerの中でもLINE WORKSやSkype、Teamsと言ったチャットツールやweb会議ツールを使用している企業もあります。
また、SIerにはフレックス制度もあります。制度があるので、10時、11時出社も可能でしょう。しかし、フレックス制度は存在しているが、使用していない・使用しにくい風潮があるのは事実です。
同期がweb系に転職しましたが、転職先では普通にフレックス制度を使えているようです。特に飲み会の次の日などは活用しているって言っていました。
最近ではフリーアドレス化しているSIerも存在します。コーヒーサーバーを設置したり、マッサージルームを作ったりと様々な施策もあります。これらはweb系の特権だったのですが、段々とSIerにも普及してきています。
とは言え、一部のweb系のように社内にBARを設置したり、昼寝スペースの設置などは普及していません。
web系は当たり前の私服通勤はSIerでも可能なのか?
web系は『私服通勤で楽』とマウントを取ってきますが、SIerでも可能です。
SIerの人はスーツが基本と思っている方も多いでしょう。実際にはポロシャツにチノパンが基本だし、ジーパンやスニーカーOKの会社もあります。ネクタイなんてつけている方は1割未満です。ベンダー会社や親会社に行く際にはスーツが基本的ですが、冬でもネクタイはしません。私もネクタイは年1回着けるかどうかぐらいの頻度です。
最近三井住友銀行でも私服通勤がOKになりましたね。少しお堅いイメージのあった銀行でこのような取り組みがあるので、SIerでもこのような取り組みが普及しているのも頷けます。
SIerはリモートワーク(在宅勤務)等の柔軟な働き方ができないのか?
これもまったくの嘘です。テレワーク(リモートワーク、在宅勤務、在宅ワーク)はSIerでもできます。
実際に、テレワーク・デイズ2019では以下のようなSIer企業が参加表明をしています。
- 日立グループ
- 富士通グループ
- NECグループ
- NTTデータグループ など
東京海上日動システムズやニッセイ情報テクノロジー、SCSKなど様々なユーザー系SIer企業でも導入されています。私の知り合いでもある日立社員も自由にテレワークができると言っていました。
2020年に猛威を奮ったコロナウイルス。この影響により、誰もがリモートワークをすることが可能となりました。導入に懐疑的だった企業も、導入せざるを得ない状況となりました。私は結婚も介護も行っていませんが、週1日程度の出社となっています。
これは自社社員のみならず、客先常駐ベンダーにも適用されます。誰しもリモートワーク(在宅勤務)が当たり前となった時代ですので、web系が持ち上げられることはありません。
ちなみにセキュリティの問題でテレワークと言っても、カフェや図書館など公共の場所ではNGです。そのため、自分の家で仕事をするのが基本的です。
SIerはweb系よりも年収が低いのか?福利厚生はどうなのか?
まずは主要なSIerの平均年収です。様々な所から引っ張ってきたので、何年度からかは正確ではありませんが、おおよそこの値に当てはまるかと思います。
- 日立製作所:868万円
- NEC:833万円
- 富士通:810万円
- NTTデータ:828万円
- 伊藤忠テクノソリューションズ:829万円
- SCSK:726万円
- 野村総合研究所(NRI):1221万円
- TIS:681万円
それに対して、web系企業の平均年収です。こちらは平均ですので、営業なども含まれた数字です。
- サイバーエージェント:772万円
- GREE:747万円
- mixi:691万円
- Gunosy:685万円
- ヤフー:651万円
- ZOZO(スタートトゥデイ):546万円
引用:【保存版】Web業界は本当に年収が低い?Web業界年収ランキング 上場企業全142社まとめ(2018年度)
大手企業であればSIerの方がweb系よりも少し上ですが、年収の傾向は異なります。SIerの場合、歳を取るごとに給料が上がっていく年功序列制です。それに対してweb系の場合、転職前提の給料なので最初は高い給料ですが、伸びしろが少ない傾向です。
よくSIerからweb系に転職したら年収が上がった方もいますが、それは上記よりweb系は転職前提の給与形態だからです。
SIerに長く在籍していれば、最終的な生涯年収は変わらないか、SIerの方が貰えると思います。もちろん今の時代年功序列制が崩れつつあるので、web系で3年起きに転職を繰り返し、年収を上昇・維持させていく方が賢いかもしれません。
もちろんこれまでの話は上流工程に関わっている前提です。SIerの場合ピラミッド構造のため、上流工程に関わる大手SIerが高給取りの傾向です。
実質2次請け以降の中堅SIer以下で高給取りを狙うのは無理があるでしょう。
最近ではSIerから社内SEへ転職する人も増えています。このような社内SEはエージェント経由の募集のみの企業が多いです。実際に生保大手企業やカード大手企業など私の知り合いもエージェント経由で転職していきました。転職を考えている方は今すぐ登録したほうが吉です。
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一方で、web系の特権として、ストックオプションなどで自社株を保有していると、上場した時や買収された時に、夢のような金銭が手に入る場合もあります。例えばメルカリが上場した時、従業員持株会で株を保有していた社員は5,000万円近く手に入ったとの噂もあります。このように上場していないweb系の会社には夢があります。
さらにフリーランスと呼ばれる職種はweb系に多いです。フリーランスになれば月100万円以上稼ぐことも可能です。SIerでは信用を重要視しているころもあり、基本的に対個人で取引はしません。そのため、フリーランスとして契約される方はごく少数です。語弊がないように補足しますが、中にはSIerでもフリーランスとして契約してくれる企業もあります。
ここで何を言いたいのかと言うと、web系の場合、ストックオプションと言った持ち株制度、フリーランスと言った職種から、大手企業ではなくても、高給取りになる可能性を秘めています。
福利厚生に関しても、ユーザー系SIer・メーカー系SIerであれば、親会社に付随しますのでかなり整っています。web系で働いたことはありませんが、日本の大企業と肩を比べられるほど整っているイメージはありません。
まとめ:実はSIerも徐々に働きやすい環境になりつつあります
以上のことから、
- SIerも働きやすい環境となってきている
- SIerでも技術が付く
ことが分かったのでは無いでしょうか。ただし、これらに当てはまるのは一部の上流企業のみでしょう。この表だと大手SIerに当てはまるような企業でなくてはいけません。
SIerに関しては『大手企業で』という一言が付くと思います。最終的には会社にもよるし、部署にもよります。これに関しては運しかありません。
大手企業ではなく中小企業や零細企業に行ってしまうと、悲惨な現状かもしれません。SIerネガキャンもこのような独立系の中小零細企業からweb系に転職した方から発信されている傾向があるのではないでしょうか。
それもNTTデータやNEC、富士通といったメーカー系SIer大手や東京海上日動システムズ、日本総研、NRI、SCSKといった優良ユーザー系SIerからweb系に転職する人は見当たりません。もしこのような方々がweb系に転職した転職エントリを見つけたら教えてほしいです。
個人的には大手SIerから事業会社の社内SEへの転職が最強のルートかと思います。年収アップさせるにはSIerからweb系よりも、SIerから社内SEを目指したほうが良いでしょう。
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