就活でSIerを見ていると分かりますが、入社した会社のビルや拠点で働くこと無く、お客様の会社で働くことがあります。
これはいわゆる客先常駐と言われていますが、ネットにはあまり良い噂がないのも事実。
実際にユーザー系SIerで働いてみて、客先常駐は2種類あることに気が付きました。今回はそのような客先常駐の仕組みについて説明していきます。
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実は、SIerの客先常駐には2種類あります!
客先常駐と一括にされることが多いのですが、この客先常駐には実は2種類あります。
- お客様の会社にチーム全員が常駐する
- お客様の会社の社員の代わりに常駐する
勝手にワンフロア貸切型と、プロパー代替社員型呼びますが、これらはどのようなことでしょうか?これから解説していきます。
【ワンフロア貸切型】お客様の会社にチーム全員が常駐するとは?
客先常駐の特徴の一つはチーム全員で常駐することです。お客様のビルの一角(ワンフロア)を丸々借りて、チーム全員が常駐するようなことをイメージしてもらえば十分です。
同じ会社の方が数人、数十人といるのが基本ですので、就活生が思っているほどそこまで閉塞感や疎外感はないかと思われます。
ワンフロアを借りて常駐しているため、お客様の執務エリアで一緒に仕事をすることがほとんどありません。廊下を歩いていたら顔を合わせることもありますが、それもほとんどないでしょう。場合によっては業務上呼び出されることはありますが、基本的に別々の階で仕事をしています。
ちなみにSIerの構造上2次請け、3次請けがあるように、実は客先常駐を依頼した会社の社員じゃない方も紛れ込んでいます。例えば大手プライムベンダーでもあるNECを例に出すと、下記のようなイメージです。
ちなみに客先常駐(SES)と言えば、どのようなイメージを持つでしょうか。プロジェクト毎に職場(客先常駐先)がコロコロ変わるイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、このようにお客様のワンフロアを借りて客先常駐しているような会社であれば、長く同じお客様に関わることが多いです。
『プロジェクトが変わるたびに職場が変わる』と客先常駐(SES)界隈では言われていますが、このような形態の場合はそこまで変わりません。つまり、客先常駐でも転々とするのではなく、長く同じ会社に常駐することが多いです。
ユーザー系SIerは技術が付かない。とよく言われていますが、反論したい部分、その指摘通りの部分両方あります。『このシステムは客先常駐のAさんしか分からない』のようなことも起こり得るぐらい長く関わり、重宝されることもあります。
さらにこのようなワンフロアを借りれるようなSES会社は、お客様と良い関係を築けている証拠でもあります。テキトーな会社なんかにわざわざ場所を貸す必要はありませんので。
ちなみに今回はNECを例に出しましたが、NTTデータに入社しようと、日立に入社しようと富士通に入社しようとこのような大手企業であれば客先常駐は一定確率で有り得ます。
ベンダー会社に入ると自社で働ける可能性もありますが、同時に2次請け3次請けをまとめるために客先常駐する可能性もあることは把握しておきたいところです。
【プロパー代替社員型】お客様の会社の社員の代わりに常駐するとは?
多くの方が思い浮かべる客先常駐はこちらでしょう。
先ほどの『お客様の会社にチーム全員が常駐する』と違って、1人、2人程度の少人数がお客様社員の代わりとなってお客様のフロアで一緒に働くようなイメージです。
チームごと客先常駐する場合は、お客様から『ワンフロア』を借りて数人、数十人単位で常駐することが基本です。一方で、上記の図のようにお客様の代わりとなって客先常駐する場合は、1人2人と少人数がお客様と同じフロアで働くという大きな違いがあります。
よく客先常駐(SES)はキツイと言われていますが、多くの場合はこちらに当てはまるでしょう。お客様と同じフロアで働いているため、面倒な仕事を押し付けられている感があります。例えば、
- プロジェクトの取りまとめ
- 毎週やることが同じ単純な定例業務
- 会議室の確保やスケジュール調整などの雑用
のように、スキルが付きにくく、誰からも敬遠されがちな仕事もあります。言ってしまえば、お客様の雑用係の方もいます。
また、前述の『お客様の会社にチーム全員が常駐する』と違って、プロジェクト毎に移り変わりがあります。中には優秀で、
- 次のプロジェクトに参画する
- 運用保守要員として残る
こともありますが、多くの方の場合はプロジェクトが終了したら縁の切れ目で退く方が多数です。
このようなお客様の代わりに働く客先常駐はベンダーの中でも様々です。こちらもNECやNTTデータなどの超大手企業から聞いたこともない独立系SIerまで多種多様です。
ちなみに『お客様の代わりに常駐する』のが全てが悪いと言うとそういうわけでは有りません。ベンダー系のSIerに入社した場合のお客様とはユーザー系SIerなどシステム子会社がメインです。
一方でユーザー系SIerのお客様といえば事業会社(親会社)です。事業会社のIT戦略にシステム的な立場から物申すことができます。このような事業会社のIT戦略に関わることは、ベンダー系のSIerには難しいです。
それが客先常駐していることによって、事業会社との打ち合わせに参加するような機会もできてきます。これをポジティブに考えれば視野が広がります。視野が広がるということは、一つは転職などにも繋げられます。
SIerの客先常駐では2種類の中のどちらが良いの?
それぞれメリット、デメリットがあるため一概にどちらが良いとは言い切れません。
様々な職場を経験したいのであれば、お客様の会社の社員の代わりに常駐する方が様々な職場を経験することができ、様々な面から技術的(スキル的)にも向上することができるでしょう。特にプロパー社員の代わりに客先常駐するため、上流工程にも関わる機会が増えます。
しかし、一方で庶務的な仕事も割り振られることもあり、職場によっては形見の狭い思いをするかもしれません。
反対にお客様の会社にチーム全員が常駐する方では、客先常駐特有の孤独感もなく、1社に対する業務知識が運用知識が比較的付きやすいです。一方でデメリットもあり、比較的下流工程を中心に請け負います。上流工程に関わりたい場合は転職するのが、一番手っ取り早くなってしまいます。
ちなみに客先常駐社員として自分の意思でどちらかを選択できないのも悩ましい所です。例え、日立やNECのような大手ベンダー社員でも客先常駐となれば、
- お客様の会社のワンフロアを貸してもらい、チームリーダーとして常駐
- お客様の会社の社員の代わりに常駐
の2種類どちらも有り得ます。
つまり、
- 超大手SIerに入社したから、客先常駐はチームとして!
- 独立系SIerに入社すると、プロジェクト毎に職場が変わる
のようなことはなく、これは入社後の運命としか言いようがありません。実際に私の会社でも、NTTデータの社員がチームとして客先常駐していたり、NRIの社員がプロパー社員の代わりに客先常駐してたりと、様々です。
【まとめ】SIerの客先常駐には2種類ある!ワンフロア貸切型とプロパー代替社員型を理解しよう
就活生にとって『客先常駐はどんな環境か?』を、分かっていない方もいたのではないでしょうか。今までも
- みんなが客先常駐は止めたほうが良いって言っている
- なんとなく客先常駐って孤独そう
- 客先常駐って劣悪な環境そう
のように、誰かが言っていたから、なんとなく悪のイメージがある。のように、ザックリと染み付いていた就活生も多いと思います。
しかし、この記事を読んだ就活生はもう大丈夫です。まず客先常駐には大きく2種類あることが分かったでしょう。それぞれメリットやデメリットがあるため、どちらが良いかは断定できませんが、このようなSIerの実態があることを知ってもらえば十分です。このブログではこのようなSIerについて発信していますので、就職活動に役立てていただければ幸いです。