就職活動を終え、SIerから内定が出ている大学生の方からよく聞かれる質問が『プログラミングって学生の内から勉強しておいた方がよいですか?』です。新しいステージに向けて準備を進める中で、疑問に思うことも多いでしょう。
結論から言うと、興味があれば勉強しておけば良いのでは?であり、学生時代に必ずしもプログラミングを勉強する必要はありません。SIerに入社する以上、そこまでプログラミングスキルは求められません。
Contents
内定者がプログラミングを勉強する前にSIerの業務をおさらい
まず、SIerの役割について改めて考えてみます。SIerは企業や組織が必要とする情報システムを設計、開発、導入、運用することが仕事です。プログラミングはその一部に過ぎず、プロジェクト管理、要件定義、システム設計、テスト、運用保守など、多岐にわたる業務が求められます。
そのため、SIerの内定者であれば業界の理解も進んでいるので、勘違いする方は少ないと思いますが、毎日プログラミングをしている訳ではありません。SIerのシステム開発の手法として、
- ウォーターフォールモデル
- アジャイル開発
の2つが挙げられることが多いです。最近ではアジャイル開発を取り入れるような企業も増えてきましたが、まだまだウォーターフォールモデルでの開発が基本的です。ウォーターフォールモデルは以下のような流れとなっています。
この開発でプログラミングをする工程は?と言うと『製造』と呼ばれる工程です。『実装』や『コーディング』と呼んでいる企業もありますが、業務内容はほとんど一緒です。
それでは実際にこの製造はプロジェクトにおいてどの程度時間が掛かるかと言うと、1,2割です。言い換えるとプロジェクトの中でも8,9割はプログラミング以外のことを行っています。
そのため、プログラミングはあまり重要視されていません。それよりも業務フローをシステム設計書に落とし込むほうが遥かに重要です。
また、SIerの構造上、最終的にマネジメントスキルが求められます。大体の社員はITスペシャリストよりもプロジェクトマネージャーを目指します。最近ではITスペシャリストを目指す方もいますが、まだ評価制度が整っていない企業が多く存在します。つまり、いくらスペシャルな技術を持っていても、評価することができていない現状です。これはSIerの悪い部分でもあり、そのようなことに嫌気を指してweb系、特にGAFA企業に転職するような流れもあります。
SIerとしてのキャリアのスタートダッシュを切るには、確かにプログラミングの知識があれば役立ちますが、それが全てではありません。多くの企業では、入社後に必要な技術や知識を学ぶための研修プログラムが用意されており、実務を通じてスキルを磨く機会が豊富にあります。
SIer内定者はどんなプログラミングをしておいた方が良い?
SIerで働いている社員の多くのキャリアプランはプロジェクトマネージャーです。ほとんどの社員がこのプロジェクトマネージャーを目指していると言っても過言ではありません。
最近ではIT系のスペシャリストを目指す方も増えていると聞きますが、現時点で扉は開いてません。それは評価制度が無いからです。中小企業であればすぐにでも人事制度を変えられるかもしれませんが、多くの社員が在籍している大企業で人事制度を変えるのは結構な時間が掛かります。
一方SIerの中でも最近力を入れているのはAIです。例えばNTTデータやNECと言った大手ベンダー会社でも、このAI人材を重宝しており、新卒でも年収1,000万円出すと言っている企業もあります。
AI、その中身の一つでもある機械学習ではPythonやR言語を用いたりします。将来的にAI領域、機械学習に関わりたいと考えている学生であれば、このようなプログラミング言語を学習しておくと、もしかしたら入社後にチャンスが訪れるかもしれません。
SIer内定者にPythonをおすすめする理由は?
実際の機械学習に使用される言語は特にPythonがスタンダードとなっておりますので、もしプログラミング言語を勉強するのであれば、Pythonがおすすめです。
学びやすさ
Pythonはシンプルで読みやすい構文を持ち、初心者でも学びやすい言語です。直感的に理解しやすいため、プログラミングの基本のキから学ぶのに適しています。
汎用性の高さ
Pythonはウェブ開発、データ分析、人工知能、機械学習など、さまざまな分野で使用されています。そのため、Pythonを学ぶことで、幅広い応用が可能になります。SIerとしてのキャリアにおいても、データ処理や自動化など、多くの場面で役立つでしょう。
コミュニティとリソースの豊富さ
Pythonは世界中で広く利用されているため、豊富な学習リソースと活発なコミュニティが存在します。オンラインで無料の教材やチュートリアルを簡単に見つけることができ、学習を進めるうえで困ったときには、コミュニティからのサポートを受けることも可能です。
【まとめ】SIer内定者はプログラミングを勉強する必要はないが、強いて言えばPython!
最後にSIerの内定者としてプログラミングを勉強するかどうかについてまとめます。
まず一つ言うと内定者、学生の頃からプログラミング言語を勉強することは必須ではありません。より幅広い知識と経験を積むことの方がはるかに重要です。
実際に新人研修ではみっちり勉強できるような環境が整っている企業も多いです。いわゆるユーザー系SIerであれば、新人研修を3ヶ月間実施してから、部署に配属されるような企業も多いです。そのため、実務に必要なプログラミング言語の取得はこの研修中に取得することができます。
ただ、そんな中でも、もし学生のうちからプログラミング言語を勉強したいのであれば、Pythonがお勧めです。学びやすく、汎用性が高く、豊富なリソースが利用できるためです。また、今後伸びていくであろうAIの分野にも活かすことができます。
個人的にはプログラミング言語よりも基本情報技術者試験や資格系の勉強をしておいた方がはるかに有意義だと感じています。もちろん考え方は人それぞれですので、自分が決めた道を信じて物事にチャレンジしてみてください。