就活初期はどのように立ち振る舞えばよいのか、分からないのがGD(グループディスカッション)です。
GDでは、就活生を通すよりも、落とすような意味合いが強いです。そのようなGDで不合格となってしまっては悔いが残ります。
今回は実際にSIer(SE)で働いている経験から、GD時に意識して欲しいことを紹介します。これさえ実践できればSE志望でなくても合格に近づきます。
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就活時のGD(グループディスカッション)の成績は?
選考で経験したGD(グループディスカッション)は正確には覚えていませんが、20社程度受けてきました。
その中で不合格だった企業は2つあります。
- NTTコムウェア
- 農中情報システム
それ以外はSIerでも事業会社でも落ちたことは有りません。記憶ベースですと以下のような企業を通過しています。
- NEC
- 日興システムソリューションズ
- 鉄道情報システム
- 三菱UFJ銀行
- 日本生命
- GMOインターネット など
正直GDで落ちることはあまりありません。どちらかと言うと落とす就活生を見定めるようなイメージです。そして全企業が必ずしもGDがある訳では有りません。
明日の朝、パンが食べたい
唐突ですが、
と言われたら何を準備しますか?自分であれば何を用意すれば良いか考えてみてください。
ある人はこのような『食パン』を用意するでしょう。
また、ある人は『クロワッサン』のようなパンを用意します。
さらにある人は、『カレーパン』のように惣菜パンを用意するでしょう。
その他にも、
- ベーグル
- メロンパン
- サンドイッチ
- フレンチトースト
のように、考えれば考えるほど出てきます。考える人の分だけ回答があります。
でも、実際に食べたかったパンは『フランスパン』で、これまで例で挙げた食パンやクロワッサン、カレーパンなどを用意されたらどう思いますか?
と思ってしまいますよね。これが認識相違です。もっと簡単に言うとコミュニケーション不足です。SE志望であれば、以下のような絵を見たことがありませんか?
引用:顧客が本当に必要だったもの
顧客が本当に必要だったもの。としてネット上に出回っているので、目にする機会はあるかと思います。かなり大袈裟に書かれていますが、実際に現場で働いていると、言いたいことは分かります。簡単に言うと、これが認識相違や思い違いです。
このような思い違いを防ぐにはどうしたら良いか。答えは簡単で、曖昧で抽象的な点は具体的に伝える。不明な点は再度認識を合わせれば良いだけです。
例えば今回の例であれば、
パンを食べたかった人:具体的なパンを伝えればよかった
→フランスパンが食べたい等
パンを用意した人:どのようなパンか確認(質問)すればよかった
→どんなパンが食べたいのか?食パンの認識で良いか?等
をすれば良いだけでした。
多くの会社で起こるシステムバグは認識相違
今回は『パン』を題材にしましたが、実際の現場でも同じような事象があります。SIerの仕組みは、以前説明したように事業会社から
という要件から初めてシステム開発が始まります。
事業会社からの要件を受けて、大手SIerが基本設計工程、外部設計工程で要件をシステムに落とし込みます。
イメージするためにもう少し具体的に社名を出すと、
三菱UFJ銀行(事業会社)が『こんなシステム』作って欲しい。と要件を出して、そのシステム子会社でもある三菱UFJインフォメーションテクノロジー(ユーザー系SIre)が、上流工程とも言われる基本設計や外部設計工程でシステムに落とし込みます。
その外部設計書を元にベンダー会社や下流工程を担当する独立系SIerなどがプログラムを作成したり、テストをします。
この要件定義を基本設計、外部設計に落とし込む際に、事業会社とシステム会社の間に認識誤りがあることがシステムバグに繋がります。
プログラミングミス(コーディング誤り)と言ったシステム設計誤りも中にはありますが、やはり上流工程で要件を詰められなかったことに起因したシステムバグが多くを占めています。
ここで先ほど例で出した『パン』の事例が出てきます。『食べたいパン』を要件定義とすると、基本設計、外部設計に落とし込む際に、
- この要件定義ってこういう意味ですよね?
- この表現って、こういう理解で良いですよね?
と一言確認するだけで、システムバグを減らせます。実際にみずほ銀行で起きたシステム統合では、このようなコミュニケーション不足が一つの要因でここまで長引いたとさえされています。
SIer志望やSE志望であれば、学生の内にでも読んでおきたいです。SIerの現場でどのようなことが起きているのかイメージできますので、読んで損はないかと思います。
【SE志望】SIerの現場から学ぶ、GD(グループディスカッション)で活かすべきこと!
それでは先程紹介したことをGD(グループディスカッション)でどのように活かすのかと言うと、就活生が発言した際に、
- ○○さんの発言ってこういう意味で合っていますか?
- ○○さんの意見はこういう理解で良いでしょうか?
のように、相手が発言したことを確認することです。就活でのGD(グループディスカッション)は、相手の言葉を言い換えるだけで余裕の通過ができます。
このようなことを私は『言い換えマン』と呼んでいました。
思い出深いのが三菱UFJ銀行のGD(グループディスカッション)です。お題は『不注意の交通事故を減らすにはどうすれば良いか?』のようなフワッとしたテーマでしたが、例えば私は『ガムを噛んで集中する』と言った個人ができることをベースに考えていました。
しかし、グループの中には『会社で交通研修を行う』や『交通講習会を年1回行う』など社会全体で取り組むような政策を考えている就活生もいました。
ここで、
とテーマを再確認するという発言をしました。議論が始まった当初は個人と社会の2つのベクトルが存在していましたが、私がこのような発言をしたことで、グループ全員のベクトルが合わせられたと感じています。
正直この発言をした段階でガッツポーズしました。これだけで通過できると確信しましたので、それ以降は流れに身を任せて、無難な発言のみしていました。もちろんGD(グループディスカッション)は通過です。
このように、GD(グループディスカッション)では革新的なアイディアを求めているわけではありません。いかにグループで一つの答えに辿り着くかを見ています。そこにリーダーや書紀、タイムキーパーなど役割はそこまで重要では有りません。
もちろん中には独創的で創造性豊かな観点を欲している企業もあるでしょう。しかしSIerやIT業界においては。間違いなく『言い換えマン』だけで通過できると確証しています。
【まとめ】SIerやSE志望であれば、GD(グループディスカッション)でこれだけを意識しよう!
ここまでつらつら書いてきましたが、GD(グループディスカッション)で意識するのは以下のようなことです。
- 自分が発言する時はより具体的な言葉を選ぶ
- 相手が発言したことに思い違い(認識相違)がないか確認する
特に後者の『相手が発言したことに思い違い(認識相違)がないか確認する』が特に重要だと考えています。これはSIerやSE志望に限った話ではありませんが、意識して欲しいことです。
これまで事例を説明した通り、思い違いや認識相違が多くの会社のシステムバグを引き起こしてます。決して技術力などの問題ではありません。
よく、
のように言われているのは、このようなコミュニケーション能力が重視されているためです。プログラミングなどの技術は、新人研修の3ヶ月程度で身につけることができます。
このように自分と相手との間で思い違いをなくすことができれば、GD通過は楽勝です。社会人になってからも役に立つスキルですので、学生の内に身につけられるようにしましょう。