転職界隈で有名なmotoさん著の『転職と副業のかけ算』。これを読んだ時に思ったのが、転職のみならず、就活にも活かすことができるなと感じました。
これから、実際に読んで良かったことをレビューしていきます。社会人のみならず就活生にもおすすめですのでぜひ一読してみてください。
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『転職と副業のかけ算』の筆者(motoさん)の経歴
今でこそ年収1,000万円であるものの、最初からエリート街道ではありませんでした。これから述べる経歴は基本的には以下の本を参考にしています。
東京都内の上位私立大に合格する力を持ちながら、家庭の事情により断念し、地元の短大に入学。一般的な人と違うのは、短大であれば四年制大学よりも2年早く社会に出ることができるという考えです。
そして就職活動では年収の高い大手IT企業に絞って就活を始めます。しかしこの日本では今も昔も学歴社会です。募集要項を見ると分かると思いますが、四年制大学卒業は必須レベルです。短大卒や専門学校卒も稀にOKの企業もありますが、実態はほぼいません。そのためこのような短大卒の方は門前払いに遭うことが多いです。
しかしmotoさんの考えはここでも異なり、逆境を跳ね返すようなことをします。例えば、人事が相手にしてくれないのであれば、社長に直接メールをしたり、一度断られた企業でも『この企業から内定を貰ったので再度選考してください』と再び面接に繋げることもあったようです。
その結果から通信会社や大手ECサイト運営会社等から内定を貰いましたが、結局選んだのは地元のホームセンターでした。もちろんホームセンターの年収は高くなく、始めは240万円からのスタートでした。
就職先だけを見ると、いわゆる高学歴のエリートマンではなく、マーチレベルの学生でも就活に失敗したか。と思われるレベルです。しかしここからが違うのがmotoさんです。
実際のにホームセンターに就職してからはレジ打ちやお客さんのクレーム対応と言ったアルバイトと変わらない業務でした。このような業務では給料は貰えるけど自分の経験値にはならないと考えたmotoさんは『自分が目指す姿』や『やりたいこと』を周りの人に言い続けました。その結果新入社員としては異例の仕事が与えられたり、店長会議に出席したりすることができたようです。
そういう風に同じ給料なら楽して働くことよりも、自分の経験値の蓄えと難しいことにチャレンジしていった結果、大手人材会社(330万円)→リクルート(550万円)→IT系ベンチャー(700万円)→広告ベンチャー(1,000万円)と年収をステップアップさせていきました。
ここで言いたかったのは転職すれば自動的に給料が上がるわけではありません。まずは目の前の本業(仕事)と向き合い、全力で取り組むことが大切です。
『転職と副業のかけ算』から読み解く!就活時に意識することは?
就活時に結果ばかりアピールしていませんか?実際に『転職と副業のかけ算』にはこのように書いてありました。
③社内評価ではなく「個人でできること」を書く
企業が知りたいのは社内評価ではなく「あなた個人で、どれだけの売上がつくれるの?」という点です。
職務経歴書の実績を華々しく見せるため、自分の営業成績や社内表彰などを推す人は多いですが、転職活動で企業が見ているのは「企業という看板のない自分」に対する評価、つまり市場価値の部分です。引用:転職と副業のかけ算(P.142)
もちろんこれは転職についての言及ですが、学生における就職活動でも同じです。
- 野球で甲子園に出場した
- サッカーで選手権に出場した
- 陸上でインターハイに出場した
- テニスで県大会ベスト4に入った
- 吹奏楽で県大会ベスト16に入った
言ってしまえばこのような結果はあくまで『看板』です。この中で、自分自身どのような立場で、どのようにチームに貢献してきたか、どのように考えて行動してきたかを面接官に伝えることが重要です。
よく言われる5W1Hですが、個人的にはWhyとHowが大事だと考えています。
5W1H
- Who:だれが
- When:いつ
- Where:どこで
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
特に『どのように考えて行動したか』という”思い”は一人ひとり違います。思い出深い面接で東京海上日動火災保険でのインターンシップの選考を思い出します。
当時の私はサッカーでの全国大会出場を全面に押し出してインターンシップの選考を受けていました。もちろんそれは『全国大会って凄いでしょ?』という風に思っており、中身がスカスカな状態で面接に臨んでいました。そこであったのが東京海上日動火災保険のインターンシップでのグループ面接。他の就活生の話を聞いていると、全国大会に出ているような人々ばかり。そこで私の番でいつものように全国大会出場を前面に押し出していたら、面接官からこう言われました。
『ヒロさんが全国大会出場したことは分かったけど、今の話は同じ部活に所属していた人でも同じような話が聞けるよね。ヒロさんがどんな”思い”で取り組んでいたのかを聞きたかった。』
そのときに初めて結果ではなく、プロセス(過程)が大事なんだと気が付きました。一般企業に就職するのではあれば、スポーツの結果なんて二の次です。その事に気がついてから、アピールポイントを結果というよりプロセスに変更してみたらドンドン面接を通過していきます。おかげさまで選考途中で辞退させていただいた企業も多数存在する中、6社からの内定を貰えました。
最後に大事なことなので、下記に再び書きます。
- どのような立場で
- どのようにチームに貢献したか
- どのように考えて行動したか
5W1Hもそうですが、この3点を意識するだけで、相手に自分の経験が伝わりやすくなります。
軸ずらし転職ならぬ、軸ずらし就活をおすすめします
転職と副業のかけ算での転職成功術として『軸ずらし転職』が挙げられています。実は私は、この本が発売される前から『軸ずらし就活』をしていました。
実際に私はSEを目指しており、SIerを軸として就活していました。SIerには
- ユーザー系SIer
- メーカー系SIer
- 独立系SIer
と呼ばれる企業が存在していますが、一部大手企業(NTTデータ、NEC、日立など)を除くと給料はそれほど良くはありません。
特に私は自社ビルで働けるユーザー系SIerに興味を持っていました。しかし大手企業(NTTデータ、NEC、日立など)と比較してしまうと、どうしても給料が低い。
そこで会社説明会や面接に進むと事業会社(親会社)からの出向者が多いことに気が付きます。そして会社の座談会やOB訪問を通して、事業会社にもIT部門があること、ユーザー系SIerに出向コースがあることを確信します。
SEになりたくてSIerを志望するのではなく、SEとして事業会社を志望するようになりました。言い換えると新卒でユーザー系SIerに行くのではなく、出向としてユーザー系SIerに行くことを目指しました。そのため、SIerの数社から内定を貰った後は事業会社に切り替えました。
事業会社とは銀行や生命保険、損害保険、証券、メーカー等のことを指します。もっと具体的に企業名を出すと、三菱UFJ銀行や日本生命、東京海上日動火災保険にSMBC日興証券です。メーカーではSIerも全く関係のないカゴメやサントリー、味の素といった企業にエントリーしていました。
『転職と副業のかけ算』で言いたいことは何か?
確かにその通りかもしれません。しかし私がこの本から読み取ったのは転職、副業ではなく『まずは本業に力を入れる』ことです。
今の日本では終身雇用制度の終わりと囁かれ、転職する社会人も増えています。今の大学生でも、転職前提で企業を探している就活生もいるかもしれません。
終身雇用で順調に役職に就くこと、転職によって役職をステップアップしていくことにどちらも正解不正解はありませんので、転職前提で入社することも良い考えです。
しかし勘違いしてほしくないのが、転職市場が盛り上がっているからと言って、必ず転職すればステップアップできるわけではありません。能力がない社会人を企業が欲しがる訳ありません。
そのために何をすべきかというと、まずは入社した会社の本業でもある目の前の仕事に全力で打ち込むことです。これを厳かにしている社員は転職をしようと思ってもステップアップというよりステップダウンしてしまいます。
これは入社以前の話です。大学生でも勉強に研究、部活にサークル、アルバイトの何かしらをしている方が多数です。例えばアルバイトであれば、社会に出たら関係ないから、時給以上のことはしたくないと思う方もいるかもしれません。しかし、そうは思わず自分には何ができるかをもう一度考えてみて行動すれば、今後の人生の糧となります。
意識する、意識しないでは、今後の人生において大きく変わってきます。まったく関係のない話ですが、筋トレでは『意識性』という言葉があります。
同じマシーン、同じ重量でトレーニングしても、ここの筋肉が効いていると思いながらトレーニングするのと、言われたから何となくトレーニングしているのでは、筋肉の付き方が変わってきます。それほど意識するということは大事です。
『転職と副業のかけ算』のまとめ
これから社会に出る就活生や社会人でも、今一度自分を見つめ直すきっかけになる本です。もう一度述べますが、転職すれば必ず給料が上がるわけではありません。まずは本業に力を入れて、自分自身の知見、スキルを身に付けようと言った非常にシンプルなことが書かれています。
今回は副業については言及しませんでしたが、副業も本業の延長線上です。本業に全力で取り組んだ経験を副業でも活かしていただければと思います。