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SIer業界における内販と外販とは何か?IT企業に勤めている現役SEが解説します

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就活を初めて会社説明会に参加すると、当たり前の言葉として出てくる内販と外販。よく分かっていない方も多いのではないでしょうか。

また、内販のみの方が良いと聞いた。外販も行っている方が良いって聞いた。のように、様々な意見があるのも事実です。

そこで今回は現役SEが、

  • SIer業界における内販とは?
  • SIer業界における外販とは?
  • SIer業界では内販と外販どちらがおすすめ?

の3つのテーマに絞って紹介していきます。私はユーザー系SIerに所属していますので、少しそちら寄りの意見となってしまうかもしれません。できるだけ客観的な意見を述べていきたいですが、主観的な部分もご容赦ください。

SIer業界における内販とは?

内販とはシステム会社が、その親会社や所属しているグループ会社のシステム開発を行うことです。文字だけで説明しても分からないと思いますので、具体的な企業名を出します。

例えば三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)を挙げます。このグループは、

  • 三菱UFJ
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 三菱UFJ証券ホールディングス
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
  • 三菱UFJインフォメーションテクノロジー

など、ここには上げきれないほどの会社から構成されています。

引用:三菱UFJフィナンシャル・グループ

このようなMUFGのシステム開発を行っているのが、三菱UFJインフォメーションテクノロジーです。

つまり言い換えると、三菱UFJインフォメーションテクノロジーは、三菱UFJ銀行を筆頭とするMUFGのシステム開発を行っています。このように親会社やグループ会社向けのシステム開発を行うことを内販と呼びます。

引用:三菱UFJインフォメーションテクノロジー 事業領域

例えば、三菱UFJインフォメーションテクノロジーがグループ外の『みずほ銀行』のシステム開発を行うことは、内販とは呼びません。

よく言われるユーザー系SIerは『内販がメイン』です。そもそもの背景は事業会社のシステム部門が大きくなりすぎたため、システム会社として独立させたようなイメージです。

先程の例を出すと、『三菱UFJ銀行のIT部門が大きくなりすぎたので、会社として独立させたのが三菱UFJインフォメーションテクノロジー』のようなイメージをしていただければ十分です。

今回は三菱UFJフィナンシャル・グループを例に出しましたが、他にも例えば、

  • 東京海上日動火災保険 → 東京海上日動システムズ
  • 日本生命 → ニッセイ情報テクノロジー
  • SMBC日興証券 → 日興システムソリューションズ

のように、親会社(グループ会社)向けにシステム開発を行っている企業はたくさんあります。金融や商社、鉄道などの大企業であれば、それぞれのシステム子会社を個別に持っています。

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SIer業界における外販とは?

先程の例では、親会社やグループ会社のシステム開発を行うことを内販と呼びました。また、三菱UFJインフォメーションテクノロジーがみずほ銀行のシステム開発を行うことは内販と呼びませんでした。

このようにグループ外のシステム開発を行うことを外販と呼びます。例えば、

  • みずほ情報総研が三井住友銀行のシステム開発
  • ニッセイ情報テクノロジーが第一生命のシステム開発
  • JR東日本情報システムが東京メトロのシステム開発

※イメージ例です。実際にこれらの企業間で、システム開発が行われているかは知りません。

のようなイメージです。

みずほ情報総研のように、みずほ銀行のIT部門から独立したことで、外販に関わっている企業もあります。つまりユーザー系SIerでも、自分たちのグループ会社向けのシステム開発(内販)のみに留まらず、他社システムの開発を行っている企業もあります。

就活生
就活生
内販のみでまったり社会人生活を送りたかったのに、他社のシステム開発をする場合は客先常駐なんて聞いてないんだけど…

のように、入社後のギャップを感じないように、事前に事業領域を知る必要があります。例えば、

  • みずほ情報総研
  • NRI(野村総研)
  • SCSK
  • CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)
  • ニッセイ情報テクノロジー
  • 第一生命テクノクロス(第一生命情報システム)
  • 明治安田システムテクノロジー
  • 日鉄ソリューションズ

などは外販に関わっていると認識しています。もちろんこのような企業以外にも外販を行っている企業はありますし、もしかしたら止めているかもしれません。全てを把握している訳ではありませんので、会社説明会やOB訪問などの場で外販の有無を確認してみてください。

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また、

  • NEC~
  • 富士通~
  • 日立~

と呼ばれるメーカー系SIerは基本的に外販です。これら子会社はNECや富士通のシステム開発をしているのではなく、NECや富士通が取ってきた仕事が降ってくるようなイメージです。

つまり、NECの営業がみずほ銀行のシステム開発の仕事を受注したら、その仕事をNEC子会社にパスしているようなイメージです。もちろん全ての企業が全て当てはまるわけではありません。子会社自分たちで受注する仕事もあります。

また、独立系SIerのTISや富士ソフトなども外販に力を入れていますし、9割型の企業は外販です。特に独立系の場合は自社開発する力がない企業も多くありますので、客先常駐となることはある程度予測しておきましょう。

SIerの客先常駐にはワンフロア貸切型とプロパー代替社員型の2種類ある!就活でSIerを見ていると分かりますが、入社した会社のビルや拠点で働くこと無く、お客様の会社で働くことがあります。 これはいわゆる...

SIer業界に就職するのであれば、内販と外販どちらがおすすめ?

大学生の皆さんは、社会人になったらどのような働き方をしたいでしょうか。

  • 給料をたくさん貰いたい
  • まったりとワークライフバランスを取って働きたい
  • 有給をいっぱい取りたい
  • 福利厚生が整っている会社
  • 育休、産休の制度が整っている会社
  • 裁量のある仕事に関わりたい
  • 出張ばかりしたい
  • 転勤ばかりしたい
  • ずっと同じ勤務地が良い
  • 転職を繰り返して市場価値を上げたい

などのように、自分が望む働き方は様々です。

そのため、就活は『絶対にこの企業に就職すれば、正解』という概念がありません。つまり、

  • 内販のみの企業に就職した方がおすすめの就活生
  • 外販も行っている企業に就職した方がおすすめの就活生

の2通りあります。内販のみだから、外販もあるから、と、ひと括りにすることは難しいですが、これからどちらの方が合っているか紹介していきます。

内販のみ企業がおすすめな就活生

まず内販に就職した方が良いような就活生。

内販は自社システムのみ扱っているので、比較的ワークライフバランスを取りやすく、まったりと働けると言われています。外販に関わっている場合、本来対等な立場ではあるはずですが、やはり『お客様が絶対!』の風潮はまだあります。

そして、通常の企業であれば、求めるはずの売上とか利益とそのような概念がありません。もちろんジャブジャブお金を使って良い訳ではありませんが。

外販も行っているような企業は、

  • googleやApple(具体的な大手企業)にシステム導入を実績あり
  • 売上高がトップクラス
  • 営業利益率が業界No.1

など、就活生向きへアピールするポイントはたくさんあります。一方内販のみSIer企業には、このような売上や利益、導入実績などがあまりなく、アピールすることができません。

そのため、何をアピールするのかと言うと、働きやすさ(ワークライフバランス)です。実際に内販企業の会社説明会には、

  • 3年平均離職率が3%程度
  • 有給休暇消化率が90%以上
  • 平均残業時間は20h以内
  • 文系理系比率は6:4

など、仕事以外の働く環境面をプッシュして紹介されていることが多いです。

特に働く場所が変わらないことも大きなポイントです。最近では在宅勤務(テレワーク)の導入も当たり前になってきており、このような内販のみユーザー系SIerの場合、新入社員でも家で仕事をするのが当たり前になってきています。

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一方外販も関わっている企業の場合は、勤務地がコロコロ変わる可能性もあります。例えば、損害保険を例に出すと、

  • MS&ADシステムズのプロジェクトに関わり、千葉ニュータウン拠点に客先常駐
  • 次は東京海上日動システムズのプロジェクトに関わるため、多摩拠点に客先常駐

のような、極端な例ですが、可能性としてはゼロではありません。

また、外販(客先常駐)の場合は、

  • セキュリティの都合上、在宅勤務ができない
  • 使用PCの台数制限から回数が制限される

などの可能性もあります。ここに関しては企業によって異なるとしか言いようがありません。

内販のみ企業の魅力:働く環境がよく、ワークライフバランスを取ることができる。仕事以外の将来設計(マイホーム購入)が立てやすい。

外販も行っている企業がおすすめな就活生

外販も行っている企業の中でも代表的なのは、

  • NEC
  • 日本IBM
  • NTTデータ
  • NRI
  • CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)
  • ニッセイ情報テクノロジー
  • TIS

などです。これら企業は売上や利益を追求しており、高い技術力やマネジメント能力を保有しています。つまり、内販のみと比べると、

  • 市場価値が高い
  • 転職も比較的容易に行える

と考えています。特に事業会社の

  • IT・システム部門
  • デジタライゼーション部
  • データ分析部

などへの転職がここ最近ブームです。私の会社でも、先程例に出したベンダー会社からの転職者が増えています。

また、業界研究をしている就活生は、SIerの業務内容について、

就活生
就活生
SIerってドキュメント整理とか、マネジメントが中心なんでしょ?

と、思っている方も多いでしょう。実際はその通りで、一部違います。実はSIerの中でもAI(人工知能)に関われる部署もあります。最近ではNECや富士通、NTTデータなどがデータサイエンティスト人材であれば、新卒採用でも1,000万円の給料を出す。のようなニュースも有りました。

これら企業に共通するのは外販にも関わっていることです。このようなデータサイエンティスト人材を募集している内販のみの企業は、あまり見かけません。

もちろん、このようなAIに関われる部署へ配属される可能性は一握りですが、今後拡大していく見込みがあります。AIに興味がある方は外販企業に行くべきです。新卒でなくても、ジョブローテーションや挙手制の異動などでチャンスがあるかもしれません。

とは言っても、このようなAIに先行投資ができる企業はお金がある企業だけです。聞いたこともない独立系SIerのような企業の場合、このような部署は無い可能性が高いですので、ご注意ください。

外販のみ企業の魅力:技術力が身につき、市場価値が上がり、転職も考えている方は有利。利益を求めるので、給料も高い傾向。AIなどの先行技術にも関われる可能性あり。
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【まとめ】SIer業界における内販・外販

今回は

  • SIer業界における内販とは?
  • SIer業界における外販とは?
  • SIer業界では内販と外販どちらがおすすめ?

の3つのテーマに絞って紹介していきました。内販のみや外販も行っている企業はそれぞれ特徴があり、一長一短です。

  • 絶対に内販のみがおすすめ!
  • 外販も行っている企業の方が絶対に良い!

のようなことはなく、就活生それぞれによっておすすめは異なります。

バリバリ働きたいのか、ワークライフバランスを取りたいのか、裁量のある仕事を任されてステップアップしていきたいのか。など、社会人での働き方は就活生一人ひとり様々です。

この選択に絶対の正解はありません。入社後にギャップや後悔をしないよう、自分だけの正解を導き出しましょう。

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