SIerの面接で聞かれるようなことは典型的です。その中でもキャリアプランは結構な頻度で聞かれます。
実際に私が就活していた時も同じようなことを考えていました。働いてみて気がついたのは、この3段階が一般的だということです。
- プログラミングやテストをメインに下流工程を中心
- 小規模案件を通して要件定義の上流工程
- 大規模プロジェクトの上流工程
もし、何も考えていない方はこれさえ答えられれば無難です。
私ならこのような3段階で説明します。
・下流工程を中心に、プログラミングやテストなどを自力で行う
・小規模案件の上流工程(要件定義など)に関わる
・大規模プロジェクトのマネジメント #Peing #質問箱 https://t.co/etWUBVi2FI— 現役SEヒロ@MARCH出身の就活ブログ (@hiro511833) May 8, 2021
SIerのキャリアパスは少なく、マネジメントが中心となっていきます。データベースのスペシャリストになる、ネットワークのスペシャリストになる、などITスキルを身に着けるようなキャリアプランはあまりありません。
最近では多様なキャリアを形成できるように、制度を設ける企業も増えてきましたが、やはりマネジメントのキャリアが一般的と思ってもらえれば十分です。
これから、なぜこの3段階が必要なのかそれぞれについて解説します。
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キャリアプランを考える前に、まずはSIer業界の構造を知ることが重要
SIer業界はよく建設業界のゼネコンのように例えられることがあり、ITゼネコンと呼ばれることもあります。
工事現場を想像して貰えれば分かりやすいと思いますが、
- 家の設計書を作成する人
- 設計書を元に工事する人
の大きく2つに分けらます。これはSIerでも同じような形態で、
- システムの設計書を作成する人(上流工程)
- 設計書を元にプログラミング、テストをする人(下流工程)
となっています。よく言われるピラミッド構造は以下の通りです。
そのため大前提として、SIer業界においては下流工程よりも上流工程を目指すべきです。
もしかしたらプログラミングやITスキルを極めたいと思う方もいるかもしれません。SIerと言えばマネジメントに重きを置いているため、プログラミングなどのキャリアパスがあまりありません。
そのため、SIerは少々居心地が悪いでしょう。例えば私の知り合いでも大手ベンダー(日立やNECなど)に入社後、マネジメント業務に嫌気が差して、googleやマイクロソフトと言った企業に転職した方も知っています。
【SIerのキャリアプラン】入社後数年間は下流工程を中心に!
先ほどはSIerであれば、できる限り上流工程に関わるべきとお伝えしました。
その通りで少し矛盾するのですが、本来は上流工程をおすすめしています。しかし、いきなり上流工程というのは無理です。何事も段階がありますので、若い内は下流工程に関わるべきです。例えユーザー系の内販100%でもこの考えは必要です。
理由は単純で、下流工程(プログラミングやテスト)でどのような業務を行っているのか理解してから、上流工程に関わることが大事だからです。
上流工程は要件定義や、基本設計(外部設計)と呼ばれる工程を指しており、内部設計(詳細設計)やテストなどの下流工程はベンダー会社に委託することが基本です。
多くの就活生はこのように思っています。しかし、下流工程を経験していないと、基本設計で内部設計以降を見越した設計書を作成することができません。
このような下流工程の経験は転職でも評価されます。私も数社事業会社のIT部門に転職エージェントを通じて面接したことがありますが、決まって開発経験を聞かれました。
『上流、下流どちらも経験しているので、高いスキルを持ち合わせているように見受けられる。』とフィードバックをいただくことが多かったです。
ここで就活生の疑問としては以下が考えられます。
- 上流工程から下流工程までワンストップで行っている会社
- 下流工程のみの会社で、上流工程の企業への転職
のどちらが良いのでしょうか。絶対に前者の上流から下流まで全ての工程に関わっている会社と言い切れます。これらはユーザー系SIerやメーカー系SIer(メーカー系本体)が当てはまることが多いです。
下流工程のみの会社で経験を積んで、上流工程の会社に転職しようと考えている方もいるかもしれません。今は転職の時代と言われており、以前より転職することは容易かもしれません。ただ、
と、転職志望者が複数いた場合、どちらを採用するでしょうか。一般的には経験のある前者に内定を出したくなりますよね。
そのため、転職が当たり前となった時代になりましたが、必ずしもステップアップのような転職できる訳ではありません。できる限り新卒の内に上流から下流までワンストップで関われるような企業に入社しましょう。
【SIerのキャリアプラン】下流工程を経験したら徐々に上流工程にシフト
ユーザー系SIerであれば、多くの企業は3年間だけ下流工程に関わり、徐々に上流工程にも関わるようになります。
少しイメージをしてほしいのですが、
- 犬小屋の設計
- 人が住む一軒家の設計
の難易度は同じでしょうか。恐らく犬小屋の方が簡単ですし、最初はこちらの方を任される方が自分のレベルに合っていると思いますよね。
SIerも同じで、上流工程と言っても、
- 100人月(約1億円)を超える大規模プロジェクト
- 1人月(約100万円)の小規模運用保守案件
など小さい大きい様々な案件があります。
例えばマラソンだと、初心者が42.195kmのフルマラソンをいきなり走れますか?恐らく5km、10kmと徐々に距離を伸ばしていくと思います。
SIerの仕事も同様で、いきなり大規模な案件を担当する可能性はほぼ0です。最初は1,2人月程度の小規模案件から関わることになるでしょう。つまり、下流工程した後のステップは小さな案件の上流工程に関わることです。
ちなみにプログラミングでたった1行追加するだけで、ベンダーから100万円ほど請求される場合もあります。良いか悪いかは置いておいて、それほど複雑で多数のテストも必要となってきます。
【SIerのキャリアプラン】最後は醍醐味、大規模プロジェクトのマネジメントを!
いつまでも1,2人月程度の小規模案件を関わるような緩い環境はありません。年次が上がるに連れて、大規模なプロジェクトをマネジメントするようになります。
SIerの醍醐味はこの大規模プロジェクトです。特に金融系システムは古くから使用されており、影響範囲が多岐に渡ります。そのためベンダー会社への発注金額も多くなり、1億円程度の案件であれば、そこら辺にゴロゴロ転がっています。
それではいきなりこのような大規模な案件に関われるかと言うと、そうでもありません。先ほども説明した通り、まず1,2人月程度の小規模な案件を独力でこなせるようになってからではないと大怪我をします。
web系企業ではあまり無い規模かと思われますので、このような大規模プロジェクトはSIerの一つのやりがいでもあります。
【まとめ】SIerのキャリアプランを聞かれたらどのように答えるか
ここまでの3段階を再度まとめます。
- プログラミングやテストをメインに下流工程を中心
- 小規模案件を通して要件定義の上流工程
- 大規模プロジェクトの上流工程
就活におけるキャリアプランはこの順序を追っていけば、ほぼ大丈夫かと思われます。
今回はキャリアプランが決まっていない方向けに書いていますので、もちろん元々キャリアプランが決まっているのであれば、それを話して貰えれば大丈夫です。